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2013年2月17日 (日)

堕ちた典型的「マスコミ協力識者」と、「PC遠隔操作犯人」レベルの愉快犯型憎悪犯罪に手を染める新聞

正直、薄気味悪い領域の出来事には、あまり深入りしない方が身のため、というか“心(精神)のため”という気はしているのだが、先日逮捕された「PC遠隔操作事件」の容疑者に、日本のマス媒体がどのような形の「私刑」を行使するのかについて“取材”だけはしておこうと思い、ネットサーフィン(?)をしていたところ、妙な記事に遭遇してしまった。
同記事については、幾つかのネット上のニュース専門サイトも、その構成及び内容に否定的に言及していたのだが、一言で言えば、執筆者も編集者もここまで堕ちることにどのような意味があるのかと、首をひねらざるを得ないものだったのである。
タイトルは
『世の「非モテ男」に捧ぐ』
なるもので、「産経新聞」とかいう、系列のテレビ局同様、昨今の女性にはいかにも『モテなさそう』な新聞社が運営するネット専用のニュースサイトに掲載されている精神科医の連載コラムとのこと。
まず、思わず不謹慎にも笑ってしまったのは、先日逮捕された「PC遠隔操作事件」の容疑者の(逮捕日以前に盗撮!されたという)スナップ写真がデカデカと掲載されていることだった。
「非モテ男」とやらの代表として無理矢理登場させられたのだろうが、これが理不尽な「私刑」を構成するほとんど犯罪紛いの行為であることは論じるまでもあるまい。
ただ、私が不用意かつ不見識にも思わず笑ってしまったのは、件の容疑者はカジュアルな普段着姿なのだが、これにスーツを着せてネクタイをつければ、いかにもマスコミ屋の政治部あたりにいそうなタイプだよな、と思ってしまったからだった。
実際、総理大臣の記者会見などで、最近私たちが観察できるのは、似たようなタイプの人たちが、総理の顔色もうかがおうともせず、ひたすらノートPCをバチバチ叩いているマスコミ屋政治部記者らの姿なのであり、あくまでも“主観的な印象”には違いないが、今回逮捕された容疑者とイメージが余りにも完璧に重なっている。
マスコミ屋は、どんな「私刑」をしたいのか知らないが、容疑者を貶めてやろうという“犯意”にのめり込むあまり、その容姿をあげつらうのは“イメージ戦略”上、完全に逆効果ではなかろうかということだ(笑)。
あるいは、“イメージ戦略”上、テレビも入る記者会見会場には、選りすぐりの“イケメン商品”だけを集めないと、“ビジネス”としていろいろとマズいのではなかろうかということ。
マスコミ屋、特にテレビ屋は、もはや“イメージ”重視の“客商売”でしかないのだから、“商品”のラインナップには、たとえ記者といえども“イケメン”だけを集めないと、“ビジネス”としてじり貧になるばかりだろう。
ああ、そうそう、新聞屋なんかも、もう誰も新聞なんてまともに読んでいやしないのだから、この際「執筆券付き新聞」というものを大々的に売りに出して、講読者に大量購入させ、千枚集めたら紙面の一部を提供するとか、そういう商売を始めた方がいいんじゃないか。
“ビジネス”として“再生”するには、そのぐらいやらないことには、もう残された時間は少ないだろう……。

それにしても……。
編集者も各界の専門家(らしき人)も、なぜここまで堕ちなければならないのかというのが、やはりこのコラムを通読しての正直な感想であり、その動機や理由がまるで不明で、ほとんど察しがつかないという意味では、訳の分からない迷惑犯、愉快犯らの犯罪行為とこれも共通している。
件のコラムの一部を読んでいただくなら、こんな調子なのである(引用者感想文付き)。

(引用開始)
『世の「非モテ男」に捧ぐ』
今年1月、この連載の19回目で取り上げた遠隔操作ウィルス事件で、容疑者の男が逮捕された。容疑を否認しており、真相は捜査の進展を待たねばならないが、モテなさそうというのが第一印象である。
(感想:驚くべき無神経さと法的無知。第一段落からこれなので後は推して知るべしなのだが、これが立派な大学を出た立派なキャリアを有するらしい精神科医の書いた文章らしいのだから、開いた口がふさがらない)
(中略)
もちろん、モテないから反社会的行為に走るというのはあまりにも短絡的な発想だ。だが、モテるか、モテないかは、特に男性にとって「レゾン・デートル(存在価値)」に関する一大事のようである。
(感想:自分の好いた女性に“モテるか否か”ならそうだろうが、それ以外は、そりゃあモテないよりモテる方が気分がよい程度なのではないのか。よく分からないのは、この聡明らしい女性精神科医の男性に対する訳知り顔である)
(中略)
たとえば、今日はバレンタインデーだが、チョコがゼロだったらどうしようという不安を抱いている男性が多い。
(感想:いったいこの決め付けはどこから来るのだろうか?。そもそも、いわゆる本命チョコとやらをもらえる男性が世にどれほどいることだろう。『不安』がもしあるのだとすれば、それは職場等における信頼やお付き合いの問題であり、モテるモテないなどとは別のカテゴリーに属するものだろうに)
(中略)
「恋愛禁止」の掟を売り物にするAKB48がビジネスとして成功しているのも、非モテの男の子が、AKBのメンバーを疑似恋愛の対象とみなして、握手券付きCDを大量に購入したりするからだろう。
(感想:AKB48とやらは、「恋愛禁止」という“掟”が“売り物”の“商品”だったのか。興味がないこととはいえ、初めて知った。また、このグループを肯定的に語る者が必ずと言って良いほど『ビジネスとして成功』という枕詞を使いたがるのはなぜなのか?『握手券付きCD』が『ビジネスとして成功』なのであれば、新聞もネットに無駄な投資をして失敗するくらいなら、早く「執筆券付き新聞」を発行し『ビジネスとして成功』すべきだろう)
(中略)
自分がモテないのは、女を独り占めしているようなモテ男がこの世にいるせいだと思い込んでいる男性も少なくない。
(感想:本当かよ(笑)。何なんだ、この決め付けは。繰り返しになるが、たとえいくらモテようが肝心の〈恋愛=対幻想の成就〉に失敗するケースは恐らくかなりあるのであり、失礼ながら心を病んでしまった方のこじつけ気味の「関係妄想」を男性一般に安易に適用してしまうのは、精神科医としてマズくないか)
(中略)
モテない男に何となく親近感を覚えるのは、「精神医学界の沢尻エリカ」と自称するほどの美貌でありながら、私自身も同じような悲哀を味わってきたからだ。若い頃、酒の席で手編みのセーターを着ている男性がいたので、「私も、家でセーターを編んでケーキを焼くような生活をしたいわ」と何気なくつぶやいた。すると、「似合わないことをしたら、どこか悪くなったのかと思うから、やめとき」と言われ、愕然としたものである。
(引用終了)
(感想:もはや何が言いたかったのか、さっぱり分からない。悪辣な編集者に唆されて「私刑」に加担させられた「マスコミ協力識者」の悲哀のみが浮かび上がってくる構図である。また、この段落について一つ辛辣なことを言わせていただくなら、この精神科医は、自らの過剰な「自己愛」と「自己顕示欲」とを、その「知性の力」によって解体処理する方策を講じるべきではないだろうかということ。悪質な新聞屋の仲間と思われ、その立派なキャリアに泥を塗るような真似はもう回避すべきだろう、余計なお世話だろうが)

一見、無駄にバカバカしいことのようだが、しかし、この手の文章が、マスメディアによって執拗に流布されるのは、そこに編集側の悪質にして悪辣な意図が隠されているからだと見なければならない。
日本社会に執拗に残存する過剰な「同調圧力」。それは、一見誰もが思わず首肯してしまいがちなネタをベースとして仕掛けられてくる。
仮にも患者の側に寄り添うことのできる精神科医であるなら、「過剰同調圧力型社会における精神科医の役割とは何か」というテーマなりモチーフなりを有してもらいたいものだ。というのも、日本社会における精神的被傷は、「同調圧力」とのせめぎあいの中から生じるものが多いと思われるからだ。
この精神科医は、当該コラムの中で、クリスマスやバレンタインデーに反対してデモをする「非モテ何とか同盟」だか何だかという団体のこともからかっているが、少なくともこのコラムよりはるかにシャレが効いているし、ジョークレベルであれ本気レベルであれ、この社会における執拗なまでの「同調圧力」に対して風穴を開けようとする試みは、何であれ歓迎されこそすれ葬られるべきものではない。
前回まで、私は日本社会に蔓延しようとする「司法」→「私法」→「私刑」という悪しきトレンドを指摘してみたのだが、このコラムもそれと同じ流れに位置しているのは間違いない。
「司法の機能不全の亀裂から噴出してくる俗悪な私刑容認感情とその裏面にある同調圧力」
「大衆の自立」を阻止しようとするイデオロギーに対しては、気付いたからには適切な言挙げをしなければならない。
むしろ「大衆向け言辞」に対してこそ、それは各方面よりなされなければならないはずなのだ。

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