« 『経済ジェノサイド』(平凡社新書)について② | トップページ | 情報の非対称性を意図的に引き起こし、ターゲットを術中にはめる「TPP交渉」と「振り込め詐欺」の構造的相似性 »

2013年3月20日 (水)

情報の非対称性を意図的に引き起こす「情報流通詐欺」にたやすく引っ掛かるような、「振り込め詐欺」の横行する地に生きる国民

まず、TPPに関して私たちが認識しておくべきことは、それが秘密交渉であるということ。
更に、民主党の前原が国会で暴露してみせたように、他党の媚米派と媚米度を競い合って倦むことのないような人間にさえ、不公平過ぎて容認できないと感じさせるほどに(事前交渉の段階においてさえ)、特定の覇権国が完全にイニシアチブを握っている“名目他国間協議”に過ぎないということだ。
そして、最大の問題点というか問題の核心的/本質的な部分は、よりによってと言うべきか、案の定と言うべきか知らないが、真っ当な米国民の手によって余りにも的確に指摘されているのであって、それがまた口惜しいと言うべきか、さすがだと言うべきか。
いずれにせよ、それをまとめるなら、以下のようなポイントが浮かび上がってくるはずだ。
すなわち、TPPとは、
①表向きは貿易協定を装っているが、(実態は)特定の大企業(連合)による世界統治の策略なのだということ。(実際、全26章の内、貿易関係の章は2章のみ、とのこと。)
②(ゆえにこの協定がもたらす最大の問題点は)司法の二重構造が成立してしまうこと。つまり、(特定の)大企業連合には(加盟各国の国内法とは)別建ての司法制度が適用されることになり、各国政府はいんちき国際法廷に引きずり出され、無制限の賠償を命じられたりする可能性もあるということ。(これが何を意味するか、すなわち諸国民国家の上位に特定の大企業とそれを守るための特別な司法制度が君臨するということを意味する以外ない)
この「司法の二重構造」という指摘は重大であり、つまりこれは、経済(学)の範疇というより、実質は法(学)の範疇の問題なのであって、我が国の無能/無定見な法曹/法学者連中が虚を突かれてまるで太刀打ち出来ないのは、予め分かりきっていたこととはいえ、あまりにも虚しくまた情けない。
(それどころか、我が国の法曹の主流派(?)連中は、国民本位の政治家を追い落とすために全力を上げて奔走するような連中なのである)
そしてこの、TPP協定の底に透けて見えてくるであろう国境の廃棄、国家主権の一部放棄は、EUがまがりなりにも有していた近代の理想の延長線上にあるものでは全くないことに着目しなければならない。
米国の問題指摘者が警告するとおり、民主主義が及ばない範囲にある特定の集団/組織/法人が、その支配下にある民衆/職員/社員を虐げ搾取しながら互いに覇を競い合うことを容認しようというのだから、それはまぎれもなく〈中世化〉〈中世化容認思想〉と呼ばれるべき代物だろう。
極端な見通しを述べてしまえば、やがては各国の軍隊も、国民を守るべき/守るはずの軍隊から、特定の企業=部族を守る(ことを強いられる)私兵に再編されかねない危うさをさえはらんでいる。(その時、軍隊は、自国民に銃口を向ける集団に成り下がるのである)
当然そこまでいたれば、民衆によって選出された議員と議会などというものは、何ほどの役にも立たない意味のないものに変わる可能性がある。
この手の、一部のマンガ的想像力のみが先鞭をつけていた類いの企業=部族が国民共同体に優先する〈野蛮な中世化社会〉が、マンガでも冗談でもなく出現する可能性が出て来ていることに、強烈な危機感とともに対峙すべきだ。
このような荒唐無稽なトレンドをどこかで廃棄し得る/揚棄し得る思想的歯止めを形成しておかなければ、全てがなし崩し的に進行してしまうような危うさを真面目に孕んでいると言うべきだろう。
私は、国家主義や民族主義を全面的に容認するつもりはないが、しかし、この国の国家主義者や民族主義者は戦う前から敗北しているような奴らばかりで、彼らの“スネ夫型”現状追認主義には呆気に取られるよりほかにない。
彼らは、もう20年も前に終わった左だ右だのといった議論に未だに執着し固執しているために、もはや現状を分析するだけの語彙を有していない。
そこに加えて、この前ナントカいう東京大学の経済学の教授が、「TPPに反対している経済学者は、若い頃、マルクスだなんだと叫んでいた奴らばかり」とかナントカのたまったそうなのだが(仮にそういう傾向が必ずしもなきにしもあらずだとしても)、問題は自らの余りの低能さが現状を分析するだけの語彙を準備出来ていないことにあるのであって、そんなことすら自覚していなさそうな様子は、単純に哀れを誘うのみだった。
更には、我が国の持つにいたった卑屈マスメディア連合は(どんなサバイバルを画策しているのか知らないが)、国民全般から経営資金を徴収している放送局までもが加わって、TPP参加か否かで盛んに「世論調査」なるものを連発し始め、「TPP参加支持者」が過半数を占めると大喜びを始める始末なのだ。
少なくとも健全なマスメディアであれば、情報の流通状態を勘案しながら、情報の非対称性を解消する方向、すなわち情報の穴や偏りを極力埋める方向に努力すべきはずなのだが、マスメディア自体がポピュリスムに流れる大衆よりもポピュリスムに淫してしまっているのだから始末に負えないのであって、真っ当な同業者に痛いところを突かれると、「そんな難しいことは分からない」と、たちまち三猿どころか政府の用意してくれたヤドの中に一目散に逃げ込むヤドカリになってみせるのだそうだ。もはや三流官僚や三流政治家以上に当事者能力を喪失しているどころか、存在自体が愉快犯レベルまで堕ちているとみなすべきだろう。
こんなことでは、「皆様の放送局」から若くて活きの良いイケメンアナウンサーがスピンアウトするのもむべなるかな、というものである。
それにしても、TPPなる多国間協定を装ったがんじがらめのしがらみ協定を仕掛けてくるほうも仕掛けてくるほうだが、いち早くそうした策略にある底意を見抜いて国民全般に公平な形で知らしめるべき使命を帯びているはずの“国民的”マスメディアが、逆に国民に情報環境の非対称性を押し付けるような所業を何ゆえに白昼堂々あからさまに実行してくるのだろうか。
犯罪類型の中にも、同情すべき点の多いものと、どうにも許しがたいものとがあるが、我が国のマスメディアがある種の更生可能ラインを突破してしまっていることは、ほぼ間違いないようだ。
彼らは、日本語という非関税障壁に防御されているから、少なくとも今しばらくは安泰と考えているのだろうか。それとも、幾つかの特定の大企業との密約を交わしているがゆえに、当面の利益は確保されると考えているのか。
だが、そのような非経営的経営を何の創意工夫もなしにこのまま続けるつもりなら、もう先は長くないだろうことは素人にも分かる。
やはり、我が国のマスメディア連合の経営陣というのは、ホンモノの烏合の衆なのだろうか。

このTPPとやらの交渉手口というものが、いかに「振り込め詐欺」の手口と似通った情報詐欺と言うべきものであることか。
その構造的相似性をこの際だから改めて見ておくことにしよう。

|

« 『経済ジェノサイド』(平凡社新書)について② | トップページ | 情報の非対称性を意図的に引き起こし、ターゲットを術中にはめる「TPP交渉」と「振り込め詐欺」の構造的相似性 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1182932/50860806

この記事へのトラックバック一覧です: 情報の非対称性を意図的に引き起こす「情報流通詐欺」にたやすく引っ掛かるような、「振り込め詐欺」の横行する地に生きる国民:

« 『経済ジェノサイド』(平凡社新書)について② | トップページ | 情報の非対称性を意図的に引き起こし、ターゲットを術中にはめる「TPP交渉」と「振り込め詐欺」の構造的相似性 »